峠 最後のサムライ」が上映中です。

長岡藩家老、幕末の風雲児、河井継之助を描いた司馬遼太郎の「峠」の映画化です。コロナで完成が延びていたのでずっと楽しみにしていました。

初日に早速映画館に行きましたが、何と駐車場にも入れませんでした。さすが長岡です。

映画では原作の戊辰戦争部分が描かれていますが、歴史をあまり知らなくても、役所広司の演じる侍の矜持とド迫力は見る価値があります。

事前に原作を読むか、戊辰戦争で長岡で何が起こったのかを大まかでも勉強してから見た方が面白いのですが、今でしょの林修先生の映画解説が公開されています。これを見るのが一番良いと思います。

私は数年前に前に書店に「峠」が山積みになっていたので興味本位で読んでみたところ、引き込まれてあっという間に上中下3巻を読みました。映画化の話が出る前に、書店に峠が山積みになっているのも、さすが長岡です。 

映画では小千谷の慈眼寺での談判シーンに興味がありました。交渉相手が岩村精一郎でなければ、長岡が戦争巻き込まれることはなかったと原作では強調されていますが、そんな岩村精一郎を吉岡秀隆が、また継之助の無念さ役所広司が見事に演じました。

途中、継之助と妻おすがが、長岡甚句を踊るシーンがあります。長岡甚句は、長岡まつりの民謡流しで皆が踊る唄です。こういう演出は憎いですね。

残念な点は、ガトリング砲の調達など兵站の見事さが今一つ伝わりにくかった点です。なぜ小藩の長岡藩が、あの時代最新鋭の武器を持っていたのかが重要です。河井継之助のこのような柔軟さや先見性を、現代人は大いに学ぶべきでしょう。

河井継之助はカラスが好きだったそうです。太陽に向かって向かって真っ直ぐ飛ぶカラスを、継之助は自身に重ねています。小泉監督もそこに惹かれてずっと映画にしてみたいと思っていたとインタビーで仰っていました。

長岡にはたくさんカラスがいますが、継之助が見ていたカラスの子孫なのでしょうね。